里芋田村磨呂の心理学解説

心理学の本についてその本ができた背景や作者の事もふかぼりしつつ解説していきます。ぜひ紹介した本に興味をもっていただければなーと思っています。

左利きの子供と中二病(アルフレッド・アドラー著作「なぜ心は病むのか」概要・感想第5章)

 

 

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心は人間を作る上で非常に大事な部分です。そして、心は時に身体のケガ以上に身体に現れることがあります。今回はアドラーが心と体の関係を解説します。

 

 

第5章 心は体に何を引き起こすか

第1弾 心は態度に現れる

概要

人間が表す態度についてのアドラーの見解を主張する段。あらすじ的立ち位置なので、そこまで長くはない。

この段についての感想

 

この段では基本的な道理というか基本として「人間は全身を使って、自分を表現するのは普通である」が語られている。私はこの後の「人が話しているのを聞くよりも、どんな様子で歩くのか、座るのか、どんな時に笑顔や落ち着きのなさを見せるのかを観察するほうが大抵役に立ちます。」も含めて非常にためになりました。このことはこの章で結構大事になるので覚えておいて損はないと思います。

第2段 左利きの子供

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概要

右利きの人が多いこの世界で左利きに生まれた子供はどのように成長するのか。また左利きを右利きに強制する時にでる欠点を述べる。

この段についての感想

左利きについての話が詳しく書かれていていた。またアメリカで信じられていた噂を真っ正面から批判するなど、結構大胆なことをやっている段です。また、本当の利き手について見極める方法などの面白いことも書かれていた。

第3段  人と行動が違う子供たち

概要

視力や聴覚などに問題のある子どもは、将来的にどうなるのかをアドラー心理学の力と歴史的根拠で予測する段。これは前段の段の左利きの子供にも言えることであり前後の関係性が強い。主に劣等感関係について語っている。

この段についての感想

この段はベートーベンやゲーテなどの歴史的背景を知ったうえで見ると非常におもしろい。この章では劣等感の良さというものがわかりやすく解説されており、非常に簡単に理解できて良い文章だと感じた。

第4段  女性と男性の役割

概要

幼い頃の女性が抱える男の子になれるという妄想いわゆる「去勢コンプレックス」を中心として、女と男の社会的な役割を幼いうちから教えたいった方が良いことを解説。また、前段とは別の話でありこれはあらすじ的立ち位置である。

この段についての感想

幼い女の子の妄想、花嫁の歌の傾向から見える結婚に対する心配などが語られていた。あらすじ的立ち位置なのでアドラーの主張はあまりなく、特にこれといった特出したアドラーの主張もなかった。

第5段  男の子の名前で呼ばれたがる女の子

概要

幼い女の子の性的役割の教育不足が与える影響をアドラーの体験した例により説明する段。アドラーは幼い時に(2~3歳)性的役割を理解しないと少しの自由と自立が得られる思春期になって困難に直面するとして危険視している。

この段についての感想

          男の子が自分が男であると理解すること

性的役割というのは、                  ですがいつ教えたらいい                                                      

          女の子が自分が女であると理解すること

か分かりにくいですよね。しかし、アドラーはそんな人の為に「教えるのは2~3歳が良い」と断言しています。そこから相当この話に自信があることも理解できやはりそれだけ沢山の経験をしているんだなあと感心しました。

第6段  自分は預言者だという少年

概要

自分は預言者だと信じ込む15歳の少年の例の段。最初の頃は話さなかったが、やがて少年はアドラーいわくこの少年は学校ではいじめられ、家では妹の方が先を行っていて優越感が感じられない為に空想の世界に逃げ、そこで預言者になったのだということを打ち明けてくれ、そこからアドラーがなぜ少年が統合失調症となったのかを考察する段。

この段についての感想

この話を聞いて、最初はこれはフィクションではないかと疑った。

しかし、よく考えてみれば今でも「僕の将来の夢は仮面ライダーです!!」とか「私の将来の夢はプリキュアになることなの!」などという子供は一定数存在するだろう。そして殆どの人が中学生、言わば思春期になって恥ずかしくなりもっと現実的な職業を目指すだろう。でも、そんな中で未だにそのようなことを言っている人は一定数いる。現代語でいうと中二病だろう。アドラーの生きていた時代にはこの言葉はなかったので、この言葉は使わなかったのだろうが、もし今生きていたのならアドラーはこの患者を中二病と判断したのだろう。年齢的にもがっつりはまっているし、この本に書かれている情報でもこいつが中二病であることは間違いない。

そう考えると少し納得したのであった。

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第7段 打ち明けられた少年の秘密

概要

この段は前半と後半で話がわかれます。

前半

前の段の話の続き。アドラーにだけ秘密を話してくれた少年を最終的に治したという報告の段。字数が少なくすぐ読み終わる。

後半

前回の話からアドラーが思い出した例の話し。妻や親族とはしっかり話せるのに大勢の前となると、緊張して上手く喋れないことに疑問を抱いた40歳の商人の原因を探るという内容。

この段についての感想

ここでは主に後半の話の感想を述べようかと思います。この話はアドラーも最初は原因が分からずじまいだったのですが、彼が千里眼の持ち主だと知って原因が分かります。と言ってもアドラー千里眼を信じてはいませんよ。アドラーはこの商人が喋れないのは喋ることにより千里眼による名声が失われたくないと考えているからだと考えました。つまり、ボロが出ないように無意識のうちにそうなっていた、ということなんです。これはホントにすごいとおもいましたね。

 次回 アルフレッド・アドラー著作「なぜ心は病むのか」概要・感想第6章

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