里芋田村磨呂の心理学解説

心理学の本についてその本ができた背景や作者の事もふかぼりしつつ解説していきます。ぜひ紹介した本に興味をもっていただければなーと思っています。

これ、どっちが大きいと思います?この現象を発見したヘルマン・エビングハウス紹介(心理学偉人紹介第7段ヘルマン・エビングハウス紹介)

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今回紹介するヘルマン・エビングハウス

 

前話

 

さあ今回も始めていきましょう。今回紹介するのはヘルマン・エビングハウスHermann Ebbinghaus)です。彼は1850年に生まれました。1850年というと日本は江戸幕府で将軍が徳川家慶、中国は太平天国の乱勃発中、ドイツでは1848年革命が起こっていますね。死亡したのが1909年で起こった主な出来事としては伊藤博文が韓国で暗殺され、日本の韓国併合が急速に進んだことくらいですね。

エビングハウスについて大まかに説明すると記憶に関する研究を行った心理学の先駆け的な人物です。有名なものでいえば記憶の持続能力に関してグラフで示した忘却曲線の研究などですね。

※第一回心理学偉人紹介はこちら!!

 

sakanouenotamuramaroyosihisa.hatenablog.jp

※ 次回の心理学偉人紹介はこちら!!

マダナイヨ

 

前回の心理学偉人紹介の語呂合わせ

※前回の心理学偉人紹介はこちら!!

 

sakanouenotamuramaroyosihisa.hatenablog.jp

 

 

 

 1 8 32年

ひとはさじもちやって来る。ヴェルヘルム・ブント誕生。

(人は匙持ち)

※ヨーロッパには生まれた子供に銀のスプーン(匙)をあげる習慣があります。

 1879年

いやなくうきを入れ替えて作ろう。ヴェルヘルム・ブントが心理学研究所を設立。

 

本編

彼のプロフィール

本名  ヘルマン・エビングハウスHermann Ebbinghaus)

出身地 ドイツ

年齢 1850年1月24日~1909年2月26日(59歳)

出身校 ポン大学(フリードリヒ・ヴェルヘルム大学)

勤め先 ベルリン大学 プレスラウ大学 ハレ大学

死没地 ドイツ

彼の功績

忘却曲線の研究

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忘却曲線とは人の記憶に関する研究で、人は覚えたことを再び覚えるまでに前回と比べてどのくらい短く記憶できるかをグラフで表したもの。学習心理学に分類される。これは覚えたことを1時間後にどのくらい覚えているかを確認するグラフだと誤解されることが多いので注意が必要。ちなみにこの実験エビングハウス本人が被検体として行っている。実験の内容は「か と ひ」「し と れ」の様に意味がない言葉をまずは記憶して、それを30分後、1時間後、5時間後、1日後などに再度この問題を行い、再び完璧に覚えるまでの時間を記録し、それが1回目とどれくらいの時間の差なのかでこのグラフが作られた。エビングハウスによると記憶してから1時間で覚えていること(これからは記憶力と表記)は急激に減り、そこからは緩やかになっていっている。

エビングハウス錯視

彼のもう一つの功績である。認知心理学ゲシュタルト心理学)に分類される事象。

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これがエビングハウス錯視である。中央のオレンジの円に注目してください。この2つの円はどちらが大きいと思いますか。右の円の方が大きいですよね。いや、実は違うんです。手を近づけてみてくれれば分かると思うのですが実はどちらの円も同じ大きさなのです。なぜ右の方が円が大きいと思ってしまったのでしょうか。それは近くにある円が関係しています。近くにその物よりも大きいものがあるとそのものが小さく見えてしまいますが、反対に近くにその物よりも、小さいものがあった場合はその物が大きく見えてしまうということらしいです、が詳しいことはまだ分かりかねているそうです。

彼の歴史

ヘルマン・エビングハウスは1850年にプロイセン王国(ドイツ)のラインラントで
ルター派を信仰している裕福な商人の子として生まれました。彼は町のギムナジウムに通っていました。しかし幼少期の情報はそれくらいしかありません。

f:id:sakanouenotamuramaroyosihisa:20200524154018p:plain赤い地方がラインラント地方である。ライン川一帯を指している。

1867年(エビングハウス17歳)の時にポン大学に入学し、歴史や文学を学ぶ予定だったが最終的には哲学を学び始めました。1870年(20歳)の普仏戦争で研究が一時中断されるが1873年(23歳)に哲学の論文を書き上げて、博士号を獲得ます。それから3年間はハレとベルリンで生活していました。

下積み時代

エビングハウスは哲学博士を取得後、英仏で家庭教師をして生計をたてていました。その時ロンドンの古書店でふと手にしたグスタフ・フェヒナーの著作「精神物理学要網」に出会い、これに感化されて彼は後に有名となる心理学実験を行います。

f:id:sakanouenotamuramaroyosihisa:20200521092742j:plainグスタフ・フェヒナー(1801年~1887年)

心理学研究所時代

ベルリン大学で研究を始めたエビングハウスはドイツで3番目となる心理学研究所(ヴェルヘルム・ブント、ゲオルク・ユリアス・ミラーに続く)を設立し、1879年(29歳)から自身の研究を始めました。

f:id:sakanouenotamuramaroyosihisa:20200524163320j:plainオルグ・ユリアス・ミラー(1850年~1934年)

f:id:sakanouenotamuramaroyosihisa:20200520064700j:plainヴェルヘルム・ブント(1832年~1920年)

1885年(35歳)の時彼の代表作ともいえる「Über das Gedächtnis Untersuchungen zur experimentellen Psychologie」が出版されます。これは後に英語版になったのを経て、日本でも「記憶について。実験心理学への貢献」という題名で出版されています。この出版物の功績は非常に大きかったようで、彼はベルリン大学の教授に就任します。1894年(44歳)の時に確証はありませんがおそらく論文の不足が原因で哲学教授の昇格が見送られたのをきっかけに、プレスラウ大学(現在のポーランドのヴロツラフ大学)に移籍します。彼はプレスラウにいる間に子供たちの精神能力が学校がある日にどのように変化するのかを探ります。どうやって探ったかの詳細は不明だがそれが成功し後の、知能指数検査の元となっています。彼はプレスラウでも心理学研究所を設立します。

f:id:sakanouenotamuramaroyosihisa:20200524165529p:plainヴロツラウ大学16世紀から続く名門校

1902年(52歳)の時に「記憶について」に続く著作「心理学の原則(Die Grundzüge der Psychologie)」を出版した。それはすぐに高い評価を受け、死後もずっと好評が続きます。1904年(54歳)彼はハレに移住して以後は死没する数年間をここで暮らしています。1908年(58歳)の時にエビングハウス最後の著作「心理学の概要(Abriss der Psychologie)」を出版し、これも高評価だった。この刊行からしばらくした1909年2月26日に肺炎により、59歳の生涯を閉じた。

まとめ

  • 1850年にプロイセン王国(ドイツ)のラインラントで生まれた。
  • しかし、幼少期はギムナジウムに通っていたということ以外は特に分かっていない。
  • 1867年にポン大学に入学し、歴史と文学を学ぶつもりだったが、最終的に哲学に興味を持ち、博士号を取った。
  • その後は英仏で家庭教師をやりながら生計を立てていた。その時にたまたま立ち寄った古本屋でグスタフ・フェヒナーの本を発見し、それに感化されて後に有名になる実験を行うきっかけになった。
  • 1879年にベルリン大学にドイツで3番目となる心理学研究所を作った。
  • 1885年に彼の代表作である「記憶について。実験心理学お貢献を出版する。
  • 1894年にベルリン大学からプレスラウ大学に転校した。
  • 1902年の時に「心理学の原則」を出版。これは彼の生前から評価が高かった。
  • 1904年にハレに移住して、以後はそこで亡くなるまで過ごした。
  • 1908年に「心理学の概要」を出版。これも高評価だった。
  • 1909年に肺炎で亡くなった。59歳だった。

あとがき

以上でエビングハウスの紹介を終わります。彼は特に後見の教育などはしなかったのですが、「自分は今研究していることをやりたい」という思いで研究を行っていたそうです。そのおかげで、エビングハウスという名前が入ったものが色々出来たんですね。確かに前回紹介したヴントのように後見の教育に自分の人生を費やすというのもいいですが、そんな人ばっかりになってしまうと逆に心理学を深く研究する人が消えてしまいますからね。こういう人も大事だなあと思いました。

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