里芋田村磨呂の心理学解説

心理学の本についてその本ができた背景や作者の事もふかぼりしつつ解説していきます。ぜひ紹介した本に興味をもっていただければなーと思っています。

子供が神経症になるタイプ3選(アルフレッド・アドラー著作「なぜ心は病むのか」レビュー3章)

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それでは第3章第4章の解説を始めていきましょう。※前回もおもしろいので読んでね

 

第3章「母親は子供の心にどう影響するのか」

この第3章は11章の中で一番長く、アドラーの主張が一番隠されている章でもあります。そしてこの章は前半と後半で全く話が違っており、後半は3章ではなく3.5章といった方が良いでしょう。

前半 母親と子供の心の関連性と  神経症になる子供のタイプ

まずアドラーは自分が創立した個人心理学の根幹ともいえることから始めます。それが「わたしは意識と無意識を別の者とは捉えていません」というものです。そしてアドラーはここから議論を展開していきます。「この意識と無意識は互いに補い合って共に働く、同一のものの実態の1つとなります。そして意識と無意識は生理学的、生物学的なものではないため、あらゆる実験でも分かりません。例えば意識が交感神経を刺激するという事実からは不安の原因は分からないのです。不安の原因は精神の領域にあり、身体の領域にはないのです。なので子供の育った状況や性の抑制は不安の原因とは考えないのです。確かにそれは重要かもしれません。ただ私は子供が最も重要だと思っているのが優越という目標だと思っています。例えば母親をコントロールしようとする目標を達成するために不安を利用するといった事実です。」等々少々難しい展開がどんどん広がっていきます。

これについて私がちょっとおもしろいなとおもったのが「意識と無意識を、別々の実態として捉えていません」と「不安の大本は精神の領域にあって、肉体の領域にはありません」というところが、完全にフロイト達ウィーン精神分析協会を踏まえていってるんですよね。これがすごくアドラーを人間らしくしているので、非常に面白いですよね。

話を戻しましょう。この母親をコントロールしようとした子供の話は例があらず、ある特定の人物を指しておらず、ある程度の大きさの所を示しています。ここからの話を簡単まとめると「私たちが目にすることと、比べると、術陽的な価値はあまりないと思う。ですから、わたしたちは、心理学として正しく正しく最適の見解に立っているといえます。また、感覚や感情や思考の原因が、体の状態や生まれつきの本能から来ると考えるのは、ほとんどの心理学では基礎・基本の考えになっているが、私は言い過ぎであり間違いであると思っております。心身の全ての機能が生まれつきの要素に左右されるこことに異議を唱えるつもりはありません。ただ、私たちがどんな精神の活動においても目にするのが、なにかしらの目標を達成するために、すでにあるものを使っているのです。感情の動きをみれば、精神でなにが行われているのか、驚くほどの洞察が得られます。」といっています。

そしてその他にも

  • 広場恐怖症の患者は、家にいるとき、他者を征服しているときは、不安を感じないのと同じように、神経症患者は自分が征服者だと感じられる時以外の経験は排除しようとします。
  • 子供が信頼できる仲間として最初に出会う人は母親です。
  • 問題のある子どもや神経症患者の行動、犯罪行為などの人生のマイナスの側のおける行動はどれも、共同体感覚の不足と、そこから生じる自身のなさに端を発しています。
  • (身内が亡くなって不安になり医者を志した少年に対して)これは、墓堀人になろうと考えた少年よりは、はるかに社会的です。
  • 無力だという感覚と、それ以外の感覚は、多少なるとも直接的に結びつきます。結びつた感覚は以前と違ってそれぞれ独自に存在することも、行動を操ることもなくなります。
  • 「劣等感」という感覚は個人の行動をしっかり調べることでしか正しく推測できない。
  • 自分がどれほど無力だと感じるかは、遺伝と環境に子供の反応が加わってきます。

などの名言をたくさん語ります。

そして最後にアドラーは庶民にも分かりやすいように神経症になる子供をタイプ分けしています。

それが「身体機関に問題のある子ども」「甘やかされた子供」「疎まれた子供」です。

そしてこの3タイプをそれぞれ分析しました。

身体機関に問題のある子ども

このような子供は先天的でも後天的でも確実に劣等感を持っています。そして一般的には、その人は欠陥を埋め合わせるため特別な努力が施されます。例えば左利きの人が、右利きにしつけられた場合、芸術に向き合って、手が上手く動かないことを隠そうとします。それは難聴の人が音楽家を目指すように(ベートーベン)、吃音の人が政治家を目指すようなものと同じなのです(デモスデネス(古代ギリシアの政治家))。

甘やかされた子供

甘やかされた子供は他者からいろいろしてもらっている子供は、決して自分の力を示しません。家族の中心でいること、注目を集めて世話をしてもらうように求めます。よくみられる症状として、怒る、満足しない、不安などの症状が挙げられます。治療にはすぐにとりかかれますが、ひどく強い不安感を考慮しなければなりません。

疎まれた子供

疎まれた子供は誰にも甘やかされたことがないため、より不穏な立場にいます。疎まれた子供の目標としては、逃げて他者から距離をとることです。容赦がない悪知恵が働く、などの症状があります。こうした子供はたいてい相手の目を見られず、話が上手くできません。常に間違いを探す性質が、役にたつ批判をする方向に発展することもあります。

 

そしてこの3つが次の3.5章に繋がっていくのです。

ルフレッド・アドラー著作「なぜ心は病むのか」3章完

次回3.5章始動!‼

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